強すぎる彼女と優しすぎる彼
そんな佳子を龍仁は再び抱きしめた。
耳元で龍仁が話始める。

「まったくお前は。そんなにでっかいこと一人でまた抱えて。」
「ごめん」
「辛かったろ。しんどかったろ。」
「・・・」
佳子は龍仁の胸の中で顔をくしゃくしゃにして泣いた。

「俺は佳子と二人の人生だって幸せだったって年取ってから言える自信がある。今だってこんなに幸せなんだ。そりゃ結婚して、子供が生まれてっていうのを当たり前に考えてたからさ、そうじゃなかったんだなっては思ったけど。ごめん。」
「うんん。私も思った。」
「でも佳子がいてくれたら俺は幸せだって思うんだ。治療で佳子が苦しむなら俺は治療なんてやめようっていうと思う。佳子には俺甘いからさ。」
佳子が少し笑う。
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