強すぎる彼女と優しすぎる彼
「あいつ、かなり頑張っててさ。ものすごい量の仕事抱えながらそれでも冷静にこなしていくの見てると、さすがだなって思うよ。持って生まれたものってすごいな。」
「うらやましいの？」
「まぁな。自分以上の才能を持ってるやつの存在は自分を高めてくれるけどさ、頑張っても追いつけないって思ったときが悔しいよな。」
「でも本社でも対等に仕事できてたじゃない。」
佳子が龍仁を見る。
「あいつは企画を考える才能だけじゃなく人とつながっていく能力だって高い。管理職になったって部下のまとめ方がうまい。俺は愛想笑いでつないでるようなもんだからな。」
龍仁の大きな体を佳子は抱きしめた。
「そんなこといって～私にはわかりますよ？課長」
誰よりも龍仁をそばで見てきた佳子にはそれが愛想笑いじゃなくいろいろな人を思ってのことだと知っている。
龍仁なりに考えた企画も評価は高かった。いろいろな企業からの信頼も高い。
ただ、同じ時期にそんな龍仁以上の才能を持ってしまったからこそ龍仁なりに劣等感を感じていたことは初めて知った。
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