強すぎる彼女と優しすぎる彼
「こんなのよく耐えてたよね」
満員電車で佳子は龍仁に守られるように立ちながらつぶやく。
「本当に。人口密度高すぎだろ。」
北海道の広大な敷地に住み慣れてしまった二人にとっては息苦しささえ感じていた。

「足痛すぎ」
佳子は久しぶりのヒールにも足が悲鳴を上げていた。

「ちょっとやすむか」
「うん」
二人はカフェに入った。
「ほら、足」
龍仁が靴ずれだらけの佳子の足を消毒する。
カフェは2階にあり窓からは景色が見える。

「あんなスピードで歩いてたのかな」
「な。俺たちあの中にいたんだよな」
「うん」
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