強すぎる彼女と優しすぎる彼
「この度は身に余るような光栄な賞をいただきありがとうございます。私自身、本当にこのような賞を頂ける日が来るとは思っておらず、驚きました。まだ、信じられない思いです。私は主人の転勤とともに北海道へ引っ越しました。そこで今の会社との出会いがあり、今回の受賞につながりました。本当に会社の皆さんには日ごろから家族のように支えていただき、心から感謝しています。私はこの一年で自分自身が大きく変化できたのではないかと今回久しぶりに東京へ戻り感じています。うまく言えないのですが、自分の中で早送りして、早歩きして、もつれそうだった足元をごまかすようにいた私の中で流れていた時間が変わったように思います。ゆっくりと一歩一歩を今、かみしめるように歩きながら周りの景色をみたり、隣を歩む人の歩幅に合わせて見たり、今まで見えなかったものが見えるようになりました。今回の受賞でこうして自身の変化を知ることができたのが私にとっては一番の喜びです。いつも支えてくれている主人に感謝しています。いつもありがとう。今日はみなさん、本当にありがとうございました。」
佳子は頭を下げると瞳から涙が流れた。顔を上げるとたくさんの人からの温かい拍手と、その中で目を潤ませながら佳子を見守る龍仁の姿があった。
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