強すぎる彼女と優しすぎる彼
「地域の情報を持っている企業は強いですからね。地域の行事に参加したり、学校に注目してネットワークを広げるだけではなく、障害者施設や老人施設にも目をむけるのは今回が初めての試みでした。確かに難しいこともたくさんありましたが、相互理解につながる一歩でした。」
「すごいな~。さっそく帰ってから企画案を練り直したいなと思いました。」
佳子のきらきらと輝く瞳を遠くから見ていた龍仁はちくりと心が痛んだ。

自分にはこの笑顔やきらきらと目が輝くようなことを佳子にあげられるだとうか。

そんな思いが膨らんだ。

「本当に参考になりました。ありがとうございます。」
佳子が支店の職員に頭を下げるとアシスタントが入室してきた。
「菊本さん、アロマのケースが水に濡れてしまって、足りなくなりそうなんです。」
「えー。予備のは?」
「全部もうだしています。」
「後半のお客さんだけ渡せないなんて・・・ホームのおばあちゃんたちもこれから来るのに・・・どうしよう」
担当者がかなり焦っているのがわかる。
< 45 / 198 >

この作品をシェア

pagetop