強すぎる彼女と優しすぎる彼
「イベント企画する部署は一つだけでしょ。そこに夫婦でいたら周りの迷惑になっちゃうよ。龍仁も仕事がやりにくくなる。そんなのは嫌。」
はっきりとした佳子の答えに龍仁は黙る。
「でもね、全然会ったこともなかった人と今日意気投合して、一緒のことに精一杯になれて楽しかったの。私、北海道に行ってもなにかパートでもしようかな。それでも楽しいしやりがいを見つけられるかもしれないって思ったの。」
佳子の目が再び輝きだす。その表情に龍仁はほっとした。
「よかった。」
そう言って佳子を後ろから抱きしめる。
「佳子から仕事を奪っちゃう罪悪感感じてたんだ。」
「罪悪感?」
「あんまりにもいい顔して仕事してたからさ」
「そう?」
「うん」
「でも、こんな顔見せるのは龍仁だけ」
と佳子が龍仁に口づける。恥ずかしそうに耳まで真っ赤にしながら。
< 48 / 198 >

この作品をシェア

pagetop