強すぎる彼女と優しすぎる彼
「で?」
「?」
「お前の腹は決まったのか?」
「決まんないよ。ここまで夢が現実味を帯びてきてから出会うとは思わなかった。」
「でも、独立するなら今がいいチャンスだろ?こんだけ顧客もついてるし、年齢的には遅いくらいだ。」
今度は司が桃を見つめ、そんな司を龍仁が見ている。
「それでもふんぎりつかないんだよ」
「・・・まぁな。俺もだ。」
「北海道行き、まだ決めてないのか?」
「あぁ」
「出世への近道だろ?今回の転勤も大抜擢だ。課長から部長に昇進も決まってるし。」
「そうなれば自分自身のやりたいことが今まで以上に実現できる。それはわかってるけど、一度北海道に行ったら3年は帰れないんだぞ?彼女の人生、狂わせたくないんだ。」
龍仁はまた佳子を見た。
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