強すぎる彼女と優しすぎる彼
次々に贈られる言葉に佳子は泣きそうだった。でもそんな顔を見せたらみんな不安になる。泣きそうな表情を笑顔に変えて
「ありがとう」
と伝えるのが精いっぱいだった。

「先輩笑うとかわいいっすね」

そんな言葉にみんなで笑いあっているとフロアの入口のドアに寄りかかりながら優しく笑う龍仁が佳子を見守っていた。

幸せな気持ちをかみしめながら佳子は離れなくてはならない現実が浮かび切なくなりそうな心をしまい込んだ。
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