強すぎる彼女と優しすぎる彼
司が個室を出てから佳子が立ち上がろうとすると、入り口から龍仁が入ってきた。
「なんで?」
佳子の言葉に
「迎えに来た」
「ありがとう」
佳子が立ち上がろうとすると龍仁は
「ちょっと待って」
と佳子を止める。佳子はもう一度座りなおした。

「佳子」
「ん?」
「本当にごめん」
「ん?」
「さっきの話し、少し聞いてた。」
龍仁はまっすぐに佳子を見つめながらつらそうな顔をしている。
「佳子の気持ち知って、俺後悔した。佳子に一番に話さなかった自分のこと恥ずかしくなった。」
「もう、いいよ。ちゃんと何回も謝ってくれたし。」
佳子が微笑みながら龍仁に言葉をかけても龍仁は笑わなかった。
< 74 / 198 >

この作品をシェア

pagetop