My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
(かわいい……!)
“闇の民”なんて呼ばれているけれど、彼らもこの国の人と何も変わらない。
それが、なんだかとても嬉しかった。
と、お父さんがくるりと踵を返した。
「ここにいるとまた追っ手が来るかもしれん。戻るぞ。……来い」
最後は私に視線を向けての言葉だ。
瞬間、どうしようかと迷う。
ラグとはぐれたまま彼らについて行ってしまっていいだろうか?
でも、彼らなら信じられる気がして、私はすぐについて行くことに決めた。
何より、ここでまた一人になるのは嫌だった。
私が「はい」と返事をすると彼はゆっくりと歩き初めた。
ふと足元に倒れている兵士たちを見やると、どうやら気絶しているだけらしく胸が上下していて少しホっとした。
3人はこの迷路のような町並みをちゃんと覚えているかのようだった。
ここの住人ではないはずなのに……。
そう疑問に思っていると、先を歩いていた子供たちが狭い小路に入って行った。続いてその道に入ろうとした、そのときだ。
「確か、連れがいると言っていたな」
背後にいたお父さんが低く言った。
「え?」
振り向いた瞬間、彼は持っていた棍棒を振り上げた。
――ガっ!!
そんな音に驚く。
棍棒に何かが深く突き刺さっていた。
私は目を見開く。それは見覚えのあるナイフだった。
「ラグ!!」