My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

4.少女の願い

「え、……えぇ!? 私に!?」

 驚く私にライゼちゃんはゆっくりと頷いた。

「わざわざフェルクレールトからか」

 ラグが疑わしげに言う。

「フェルクレ……?」
「こいつらの国の名前だ」
「え? だって、ずっと南の国だって……。じゃあそこまで私のこと伝わっちゃってるってこと!?」

 私のことを捜しているのは、てっきりこの国だけなのだと思っていたけれど。
 すでに他の国にまで知れているということは、結局海を渡っても気は休まらないということになる。

(でも、いくらなんでも早すぎる気が……)

 と、ライゼちゃんがその問いに対して首を横に振った。

「いいえ、銀のセイレーンが現れたというのはフェルクでもまだ、私たちしか知らないはずです」

 言われて少しほっとする。
 しかし逆に新たな疑問が湧く。

「じゃぁ、ライゼちゃんたちは何で知って……?」
「声が、聞こえたんです」
「声?」

 私が訊き返すと同時。

「神導術士、か」

 ラグのその低い声にライゼちゃんの肩がびくりと震えた。
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