My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
(魔導術士の養成機関?)
「おそらくその男は、その中でも……」
「オレの話はいい! ――で? その神導術士のアンタが銀のセイレーンに何の用があるんだ」
ラグがイラついたように捲し立てる。
ライゼちゃんはゆっくりと顔を上げて、再び私に真剣な瞳を向けた。
「フェルクレールトを、……私の国を助けて欲しいのです」
私は目を瞬く。
その言葉が魔導術士であるラグへ向けたものではなく、傭兵であるセリーンに向けたものでもなく、私に向けられた言葉なのだと理解するのに少しの間を要した。
「え? わ、私……?」
自分を指差しながら言うとライゼちゃんは強く頷いた。
「はい。銀のセイレーンである貴女にしか出来ません」
焦る。
国を助けるなんて、私にはどう考えても不相応過ぎる。
「で、でも私、迷惑かけるだけの役立たずだし、銀のセイレーンかどうかも実は怪しいし」
「自分で言うなよ」
すかさずラグから溜息交じりのツッコミが入る。
でもライゼちゃんは首を横に振って続けた。
「いいえ、貴女は間違いなく伝説の銀のセイレーンです」
自信たっぷりのその言葉に私はなんだか気恥ずかしくなった。
「何赤くなってんだ」
「え? や、別に……」
半眼で見下ろされ、私は慌てて頬に手を当てる。