My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
ラグは呆れたようにもう一度大きな溜息を吐いてからライゼちゃんに視線を向けた。
「あのな、銀のセイレーンは世界を破滅させる存在だって、アンタも知ってるだろう」
やはりイラついたようにラグは言う。
「私も、カノンさんを実際に見るまではそう思っていました。ですが、貴女に会ってあの“声”の意味がわかったのです」
そして、ライゼちゃんはゆっくりと話し始めた。
◆◆◆
ご存知の通り、私の国はあの大戦によってこのランフォルセの属国となりました。
民はそれからずっと、酷く苦しい生活を強いられています。
そんな中でも私は神導術士として、皆から大切に守られてきました。
……代々、神導術士とはそういうものなのです。
だからと言って、私にできることは「嵐が来る」など、聞こえた“声”を皆に伝えることだけ。
私はそんな自分をとても歯がゆく思っていました。
そんなときに、いつもとは違う“声”が聞こえたのです。
このランフォルセに、銀のセイレーンが現れたと……。
私は居ても立ってもいられなくなり、国を飛び出してきました。
◆◆◆
ライゼちゃんはそこまで話し終えると、一旦息を整えるように間を置いた。
「……初めは、この世界を破滅させると云われる銀のセイレーンを、消すことが目的でした」
「え!?」