My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「え、ええぇ!?」
「ほぉ?」
私の大声と、それまで黙っていたセリーンの面白がるような声。
「ら、ライゼちゃんて今いくつ!?」
「私は今、13です」
「13で婚約者!?」
「はい。私は早くに子を生まなければならないので……」
「あ……」
ライゼちゃんのそのはにかんだ笑顔を見て、サーっと血が引いていく。
(そうだった。ライゼちゃんは……)
瞬間謝罪の言葉を口にしそうになって、寸前で止める。……ここで私が謝るのは、何か違う気がした。
「婚約者かぁ。その人、良い人?」
「はい。少し無口ですが、優しい人です」
「そっか」
少しの沈黙。
今まで気にならなかった虫の声が煩いくらいに耳に響く。
13歳。私よりも4歳年下の女の子。
日本で言うと、まだ中学一年生くらいだ。
私はその頃、何を考えていただろうか。
きっと、友達と遊んで、勉強して、他愛も無いことで喜んだり悩んだりしていたはず。
――ライゼちゃんはその小さな身体に一体どれ程のものを背負っているのだろう。