My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
(うぅっ……)
今はあまり怒らないで欲しかった。でないと折角の決心が萎んでしまいそうだった。
でも、私はそれではダメだと思い切って口を開く。
「私の、先生になって欲しいの!」
「……は?」
私の真剣なお願いに、ラグは思いっきり顔をしかめた。
彼からしたら、何を突然わけのわからんことを、といった感じだろう。
「だ、だからね、ほら、私歌うと動けなくなっちゃうでしょ? だから、そうならないように、術のコツ? みたいなものを教えて欲しいの!」
――そう、ビアンカに乗っている間ずっと考えていたのはこの事だった。
歌う度に動けなくなってしまっては、どう考えてもライゼちゃんの役には立てない。
ライゼちゃんの力になりたい。
彼女のことを知るたび、その想いは強くなっていた。
「前にラグが、自分も昔そうだったって言ってたから、なんか良い方法知ってるかなと思って……」
「…………」
やはり「めんどくせぇ」と断られてしまうだろうか。ドキドキしながら彼の答えを待つ。