My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「そういえば、ライゼちゃんも同じこと言ってたね。術士は万物に好かれる存在だって」
「そう……だな」
急に、ラグの顔色が変わった気がした。
私はそれを見て、ずっと気になっていたことを訊くことにした。
今なら、答えてくれる気がしたから。
「ねぇ。ライゼちゃんは、魔導術士のことが……嫌いなの?」
そのとき一枚の葉が舞い降りてきて、水面に映った月が砕けた。
ラグが唇の端を上げる。
「……だろうな。ま、オレ達魔導術士を好きって奴の方が稀だけどな」
「え? そうなの!?」
つい、大きな声が出てしまった。
「特にあいつは、オレのことが相当気に入らないと思うぜ。神導術士なんてオレたちとは真逆の存在だろうからな」
「真逆?」
私と目を合わさずに、ラグが続ける。
「術士は元々皆同じもんだった。万物に好かれ、その力を扱える特別な存在。オレ達はこの特別な力を、……戦争で使った」
(あ……)
ドクンっと胸の奥でひとつ大きな音がした。
「“魔導術士”なんてのは、戦争後に出来た呼称だ。悪魔のような術士ってな」
「私は好きだよ! 魔導術士!」
知らずのうちに口から飛び出ていた言葉。
だって、ラグが……その嘲笑ったような顔が、なんだかとても辛そうに見えたから。
彼は驚いたようにその青い双眸を見開いた。