My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「オレとしちゃその方がありがたいけどな。あの野郎もいねぇってわかったんだ。オレはもうこの国に用は無い」
その冷たい視線がブライト君やライゼちゃんのいるテントの方を向く。
「別に闇の民がどうなろうとオレの知ったことじゃねぇしな。……あいつらが弱いのがいけねーんだ」
「そんな言い方……!」
反論しかけてはっとする。
(今の私に、反論する資格なんてない……)
何もしないで、何もしないうちからこうしていじけている私には、そんな資格無い。
と、その時テントの入り口からライゼちゃんが顔を出した。
ブライト君に何かを言い、それから私を見つけてにっこりと微笑む。
その無垢な笑顔を見て、私は下唇を噛んだ。
「まだ、諦めない」
「…………」
私の声に、ラグが目線だけこちらを向いた。
「まだ何もしてないもん。……私に出来る限りのことはするって決めたんだから」
言いながら、私はもう一度拳を強く握り締めた。
「まだ、諦めたくない」
諦めるのは簡単だし、楽だ。
でも、まだ何もしていないうちから諦めることはしたくなかった。
ライゼちゃんは、こんな私を信じてくれている。