My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
また聞いた“銀のセイレーン”という言葉に半ばうんざりする。
「私そんなんじゃないよ! 勝手に周りが言ってるだけで」
と、急に彼は立ち止まり小さく舌打ちをした。
つんのめりそうになりながら彼の頭越しに前を見ると、こちらに走ってくる新たな追っ手が見えた。
後ろからも「いたぞ!」という声。
横は高い城壁。
私たちは完全に逃げ場を失ってしまった。
「ど、どうするの!?」
私は頼りの少年に訊く。
すると彼は睨むような目つきで私を見上げた。
彼の瞳は青かった。額に布を巻き、その顔つきはやはり10歳程に見えた。
「お前、銀のセイレーンじゃないのか!?」
「違うってば!」
「クソっ、話が違うじゃねぇか!」
吐き捨てるように言った少年は腰から不相応な大きさのナイフを取り出し、私の前に進み出た。
ブゥもそんな彼の頭上で迫る敵に構えているように見える。
だがどう考えても兵士たちの長剣相手では分が悪すぎる。
「無理だよ! さっきの風、もう一度出来ないの!?」
確か兵士たちは「まどうじゅつ」とか言っていた。おそらく“魔法”と同じようなものだろう。あの力があればきっと――。
「出来ねぇから焦ってんだろ!」
「うそぉ!?」
私はまたしてもヘナヘナと力が抜けるのを感じた。
今度こそ終わり!?
「私そんなんじゃないよ! 勝手に周りが言ってるだけで」
と、急に彼は立ち止まり小さく舌打ちをした。
つんのめりそうになりながら彼の頭越しに前を見ると、こちらに走ってくる新たな追っ手が見えた。
後ろからも「いたぞ!」という声。
横は高い城壁。
私たちは完全に逃げ場を失ってしまった。
「ど、どうするの!?」
私は頼りの少年に訊く。
すると彼は睨むような目つきで私を見上げた。
彼の瞳は青かった。額に布を巻き、その顔つきはやはり10歳程に見えた。
「お前、銀のセイレーンじゃないのか!?」
「違うってば!」
「クソっ、話が違うじゃねぇか!」
吐き捨てるように言った少年は腰から不相応な大きさのナイフを取り出し、私の前に進み出た。
ブゥもそんな彼の頭上で迫る敵に構えているように見える。
だがどう考えても兵士たちの長剣相手では分が悪すぎる。
「無理だよ! さっきの風、もう一度出来ないの!?」
確か兵士たちは「まどうじゅつ」とか言っていた。おそらく“魔法”と同じようなものだろう。あの力があればきっと――。
「出来ねぇから焦ってんだろ!」
「うそぉ!?」
私はまたしてもヘナヘナと力が抜けるのを感じた。
今度こそ終わり!?