My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
そのまだ幼さを残した顔をまっすぐに向けて、彼女が良く通る声で私を呼ぶ。
「カノンさん! ブライトに話をしようと思います。こちらに来ていただけますか?」
「うん、わかった! 今行くね!」
私はそれに、笑顔で応えることが出来た。
――横からは、またしても大きな大きな溜息。
そんなラグの横顔をちらりと見上げ私はふと思う。
(もしかして、叱咤してくれたのかな)
だとしたらさっきの辛らつな言葉はわざとだろうか。
いや、彼の場合本心からの言葉のような気もする。
本当に冷たい人なのか、実は優しいのか……、まだ出会って間もない私には分からなかった。
どちらにしても今、私は迷いが晴れてとてもスッキリとしていた。