My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
10.魔導術士と神導術士
「銀のセイレーン!?」
ブライト君が私の方を見ながら素っ頓狂な声を上げた。
「って、あの、伝説の……ですか?」
その目には色んな感情が織り交ざっていた。
勿論その中に“破滅を導く者”への畏怖も見えたけれど……。
(どちらかっていうと「この人が?」って感じ)
頭の中に“銀のセイレーンは絶世の美女”というラグの言葉が蘇っていた。
私はどうにも居心地が悪く、とりあえず大分ぎこちないだろう愛想笑いを浮かべてみた。
そんな私を見てブライト君がますます怪訝そうに眉を寄せたのは、言うまでもない。
――ライゼちゃんのテントの前に今全員が集まっていた。
セリーンは私のすぐ横に。ラグは近くの木に寄りかかりいつもの如く不機嫌そうに腕を組んでいる。その髪の毛ではブゥがぐっすりお休み中だ。
ヴィルトさんも一日寝て流石に全快したようで、つい先ほどラウト君と共にしっかりとした足取りで歩いてきた。
彼は元戦士だという。初めて出会ったときと同じ、今は十分にその風格が漂っていた。
「そうだよブライト! お姉さん歌うと髪の毛が銀色に変わるんだよね」
微妙なこの場の雰囲気を吹き飛ばすような元気な声に、私はびくりとする。