My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「神導術士であるライゼ様が、ま、魔導術士とこんなに近くに……こ、こんなことが……っ」
「ブライト。この方々は私の恩人だと言ったはずです。口を慎みなさい」
「し、しかし!」
主であるライゼちゃんの厳しい言葉にもブライト君は引き下がらない。だがその時。
「ねぇブライト! お兄さんね、空飛べてすっごいかっこいいんだよ!」
ラウト君の明るい声がまたもその場の雰囲気をガラリと変えた。
ポカンと口を開け、にこにこ顔の少年を見下ろすブライト君。
そして、
「魔導術士は、もう我らの敵ではない」
今まで黙っていたヴィルトさんの低い声に、漸くブライト君は口を噤んだ。
――私はこの時初めて、以前、魔導術士とこの国が敵対関係にあったという事実を知った。
ライゼちゃんが再び口を開く。
「ブライト。頼みがあります」
「え、は、はい!」
「この場へ、村の子供達をなるべく多く集めてきて欲しいのです」
「子供?」
思わず私は訊き返していた。
「はい。カノンさんにはまず子供達の前で歌って頂きたいと思っています」
それを聞いて私は正直ほっとした。
小さな子達の前でならそれほど緊張せずに歌える気がしたからだ。
(ううん、むしろ楽しく歌えそう!)