My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「でも、」
と、そこで口を開いたのはライゼちゃんだった。
「初めてカノンさんの歌を聴いたとき、不思議と、それが“歌”なのだとすぐにわかりました」
「そういえば、そうだったな」
セリーンもそのときのことを思い出すように私を見た。
だがそれに答えたのは不機嫌そうなラグの声。
「髪が銀に変わったからだろ。あの時あの場にいた奴は皆“銀のセイレーン”のことが頭にあったはずだ。……考えりゃすぐにわかるこった」
「あ、そっか。そうだよね。……何で銀色に変わるんだろ、私の髪」
私は自分の何の変哲も無い黒髪をいじりながら呟く。
その問いに答えてくれる者は流石にいなかった。
それを知っていそうな人物は唯一人だけ。
(エルネストさんはどこまで知っているんだろう)
彼は歌のことも知っているようだったし、それに。
「みんな、楽譜って知ってる?」