My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「じゃあね、お姉ちゃん!」
「また一緒に歌おうね!」
「絶対だよー!!」
口々に言いながら、子供達はブライト君に連れられ帰っていく。
私は見えなくなるまでずっと手を振り続けていた。
子供達の影が完全に見えなくなって、私はふぅと息を吐く。
と同時、ヘナヘナとその場にへたり込んでしまった。
「カノン!?」
「カノンさん!?」
セリーン達が驚いたように駆け寄ってきてくれる。
「だ、大丈夫。ちょっと気が抜けただけだから」
昨夜少しコツを掴んだとは言え、流石に歌い過ぎたかもしれない。
でもどちらかというと、無事に終わってよかったという安堵感の方が大きかった。
セリーンに起こしてもらった私にライゼちゃんが言う。
「カノンさん、ありがとうございました。私の思ったとおりでした。いえ、それ以上です。本当に、本当にありがとうございました!」
その赤い瞳が涙で潤んでいた。