My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
12.魔導大戦
ライゼちゃんの期待に応えることが出来た。
年相応の可愛らしい笑顔が見られた。
そのことがとても嬉しくて、そして心底ほっとしていた。
――あの時諦めなくて、本当に良かった。
陽が沈み、ライゼちゃんは今夕飯を作ってくれている。
私は「少し休んでいろ」というセリーンの言葉に甘えて寝室で横になっていた。
瞼を閉じると子供達の楽しそうに歌う姿が浮かんだ。
(皆これから歌を好きになってくれたらいいな)
歌が不吉とされるこの世界に、少しずつ歌が広まっていく。
そんな未来を想像して、思わず顔が緩んだ。
でも。
(ラグ、結局戻ってこなかったな)
水浴びにしてはどう考えても長い時間。
去っていくラグの背中を思い出しながら、私は寝返りを打ち目を開けた。
(ひょっとして歌、聴きたくなかった……?)
昨日の夜も、彼は私の歌を聴きたがらなかった。
子供達よりも長く生きている分、“歌”に対する偏見や嫌悪感がやはり根深いのだろうか。
……ヴィルトさんもセリーンも、ただ私たちの歌を聴いているだけだった。
少し寂しいけれど、でもそれは仕方のないことなのかもしれない。
人はなかなか自分の幼い頃からの考えを、変えられるものではないと思うから。
(ヴィルトさんが歌ったら、低音で素敵だろうなぁ……)
そんなことを考えながら、私はいつの間にかうつらうつらと夢の中に入ってしまった。