My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
足についた砂を払いながらゆっくりと立ち上がると、途端私を囲む人々の輪が広がった。中には悲鳴を上げてその場から逃げていく人までいる。
(嫌な感じ)
なぜこんな、皆揃って私に注目するのだろう。しかもそんな怯えた目で。
(なんか変かな。私……)
不安を感じながら恐る恐る自分の格好を見下ろす。
一般的な高校の制服姿。別段可笑しなところは無い。
と、そのとき足元に紙切れが一枚落ちていることに気が付いた。拾って裏返すと、それは。
(楽譜? ……そうだ)
私はつい先ほどいたはずの音楽室で、このタイトルも何もない古ぼけた楽譜を見つけたことを思い出した。
なんとなく興味を惹かれて、私はその知らないメロディーを小さく口ずさんだのだ。
そして、気付いたら此処に……。
(やっぱり変)
この楽譜をどこかに持ち歩いた記憶はない。
見れば靴は学校指定の上履きのまま。
どう考えても、いきなり此処に、この場に来てしまったとしか――。
「なんの騒ぎだ!?」
その場の空気を切り裂くような突然の怒声に、皆の視線が一斉に私から移る。
人々を割って現れたのは、物々しい格好の男二人。二人とも西洋風の甲冑を身に着け、腰には剣と思しき物を携えていた。
“兵士” ――私の頭に浮かんだのはそんな単語。
(嫌な感じ)
なぜこんな、皆揃って私に注目するのだろう。しかもそんな怯えた目で。
(なんか変かな。私……)
不安を感じながら恐る恐る自分の格好を見下ろす。
一般的な高校の制服姿。別段可笑しなところは無い。
と、そのとき足元に紙切れが一枚落ちていることに気が付いた。拾って裏返すと、それは。
(楽譜? ……そうだ)
私はつい先ほどいたはずの音楽室で、このタイトルも何もない古ぼけた楽譜を見つけたことを思い出した。
なんとなく興味を惹かれて、私はその知らないメロディーを小さく口ずさんだのだ。
そして、気付いたら此処に……。
(やっぱり変)
この楽譜をどこかに持ち歩いた記憶はない。
見れば靴は学校指定の上履きのまま。
どう考えても、いきなり此処に、この場に来てしまったとしか――。
「なんの騒ぎだ!?」
その場の空気を切り裂くような突然の怒声に、皆の視線が一斉に私から移る。
人々を割って現れたのは、物々しい格好の男二人。二人とも西洋風の甲冑を身に着け、腰には剣と思しき物を携えていた。
“兵士” ――私の頭に浮かんだのはそんな単語。