My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「頑張ってるったってな、所詮ガキに出来ることなんざ限られてんだよ。お前だってそうだ。いい加減歌で人を救うなんて、それこそガキみたいな考えさっさと捨てちまえ」
「ガキガキって、子供にだって出来ることがあるでしょ!? ラグだって、ライゼちゃんと同じ歳の頃戦争に出て一生懸命頑張ってたんじゃないの!?」
言ってしまってから激しく後悔する。
ラグの目つきが明らかに変わった。
動揺、怒り、そして……。
それは鋭く私を突き刺して、すぐに逸らされた。
「……とにかく、オレは明日ここを出る。こんなクソ暑いとこ、これ以上いられるか」
そう言い捨て、今度こそ彼は行ってしまった。
ブゥは私と彼とを見比べ少し迷うような素振りを見せてからそれについて行った。
残された私は、酷い罪悪感を覚えていた。
(私、今なんて……?)
先ほどのラグの目つきが頭から離れない。
彼が一瞬見せた、まるで傷ついた子供のような目。
そして、昨夜自嘲気味に当時のことを語った彼の表情が蘇る。
……なんて、無神経なことを言ってしまったのだろう。
ついさっき、魔導大戦のことは当分口にしないと決めたばかりだったのに。
後悔と自己嫌悪で涙が出そうだった。