My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
銀に変わった髪が、いつもよりも強く輝いているような気がした。
セリーンとラグが、目を見開き私を見つめる。
――クラール君、お願い、元気を出して。
ほら、お友達のラウト君も、ブライト君もこんなに頑張って歌ってくれてる。
元気にならなきゃ! そしてクラール君も一緒に歌おうよ!
そう、心で語りかけながら歌う。
そのとき、クラール君の眉が小さく、けれど確かに動いたように見えた。
それに皆気が付いたのだろう。ブライト君と、特にラウト君の声が更に大きく楽しげなものになった。
一度歌い終えても、まだクラール君は目を開けてくれなかった。でも、
「さっき、クラール目開けそうになったよね! ね!」
ラウト君が顔を紅潮させ興奮したように言う。
「はい、確かに! もう一度歌いましょう!」
ブライト君に言われ、私ももう一度最初から歌いだした。
歌うことに夢中で、周りのことなんて全く気にしていなかった。
ラグとセリーンが何かに気付いて鋭く視線を交えたことも、ラウト君とブライト君がいつの間にか歌うのをやめたことも、私は知らずに……クラール君のことだけを考えて歌っていた。
――クラール君お願い、目を開けて。
あなたがいなくなると、悲しむ人がここにいるよ。
死にたいなんて思わないで、生きて、そして――、
「みんなで歌おう!」
ラウト君の大きな声で私は漸く気付く。
次の瞬間、歌声がわっと大きくなった。
後ろを振り向いて驚く。――ラウト君とブライト君だけじゃなかった。
昼間の子供達が、クラール君に向けて大きな口を開けて歌っていた。
驚く私の顔を見て、みんなが笑顔で応えてくれる。
きっと、みんな歌声に気付いて集まってくれたんだ……!
そう思ったら、喉の奥がキュンと苦しくなって声が震えた。
クラール君の心に届くようにと、私と子供達の大合唱が夜の村に響く。
――お願い、届いて……!!