My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1




(…………?)

 身体が一定のリズムで揺れている。
 深い場所からゆっくりと意識が浮上していく。

(私、生きてる……?)

 どこかで鳥のさえずりが聞こえる。
 いつの間に夜が明けたのだろう。
 私は重い瞼を開けた。
 まず見えたのは黒々とした高い針葉樹と、白い空。
 そしてそれよりも近く。

「!?」

 見知らぬ青年の横顔に、私は大きく目を見開く。

(誰!?)

 枯葉の混じった土を踏みしめる乾いた音。
 私は自分がこの人に抱えられていると知り焦る。

 確か私は少年とブゥと供に空から落ちたはずだ。
 どうしてか助かったのはいいが、この青年は私をどこに連れて行こうとしているのだろうか。
 と、微かな身じろぎが伝わったのか青年がこちらを見下ろした。

「起きたか」

 短く言って彼は足を止めた。
 そのまま私を少し乱暴に地面に下ろす。
 辛うじてバランスを取った私は彼から距離を開けた。

「あ、あなたは?」
「あ?」

 私の第一声に彼は眉根を寄せる。


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