My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
 同じ歳くらいのようだが、不機嫌そうな顔のせいでもう少し上に見える。
 無造作に結ばれた長い黒髪に額に巻かれた布。

(あれ?)

 ふと気付く。
 彼の服装には見覚えがあった。

 ――そうだ。確かに少年の着ていた服と同じものだ。

 訝しげな私を見て彼は大きく息を吐いた。

「ったく……めんどくせぇな」

 彼は視線を外しぶっきらぼうに言い放つ。

「さっきのガキはオレだ」
「へ?」

 私は首を傾げる。
 意味が全くわからない。
 そんな私をキッと睨みつけ彼は怒鳴った。

「だから、さっきのガキがオレなんだよ! そんでこっちがオレの本当の姿だ! わかったな!!」

 そして彼はそのままそっぽを向いてしまった。

「……ぅ、うっそぉ~!?」

 思わず私は彼を指差し声を上げていた。
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