My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1

「だがまぁ実際は、銀のセイレーンを助けた者がストレッタの魔導術士であることの方が問題になっていると思うがな」

 セリーンがラグの背中を冷たく見つめながら言い、私ははっとする。
 ルバートに入る際ラグは先ほどのバッジを兵士に見せ身分を明かした。その直後にあの騒ぎだ。すぐにあの時の3人だと特定できたはずだ。

「そ、そうだよね。ごめんラグ! 大丈夫なの……?」

 ライゼちゃん達を助けたことは当然のことだとしても、思っていた以上に自分の行動によってラグに迷惑をかけていたと気づいて焦る。

「礼を言ったかと思えば次はごめんかよ。っとに面倒な奴だなお前は」
「う……」

 心底呆れたような声が返ってきて私はもう一度真剣に謝る。

「本当に、ごめんなさい……。その、ストレッタに戻った時、なんか立場とか悪くなったりしない?」
「さぁな。立場なんざ今更気にもしねぇが、一度報告がてら戻るつもりだ。今頃ランフォルセの奴らが、ストレッタに使者でも送ってる頃だろうからな」

 歩きながらさも面倒そうに言うラグ。
 使者、という言葉に重さを感じて私は思わずごくりと喉を鳴らした。

「この国を出たらストレッタに行くってこと?」
「あぁ」

 噂のストレッタに行くと知り、胸がざわめいた。
 話を聞く限り、怖いイメージしかないストレッタ。一体、どんなところなのだろう。
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