My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「そうだ、ライゼちゃん。村の人たちには私のこと……」
「はい! こちらももう大丈夫です。皆まだ少しの戸惑いはあるものの、カノンさんが皆が思うような人物ではないとわかってくれました」
そうライゼちゃんの口から聞いて心底ほっとする。
「ありがとう! やっぱり、ライゼちゃんは凄いね。村の人たちに本当に信頼されてるんだ」
「いえ。私だけの力ではありません」
「え?」
ライゼちゃんが微笑みを浮かべながら首を横に振り、少し離れた村人たちの方に視線を送った。
「子どもたちも一緒になって大人たちを説得してくれたんです。カノンさんのこと、そして歌のことも伝説にあるような恐ろしいものではないと、一生懸命に」
「子どもたちが……?」
胸にぽっと小さな灯がともったような気がした。
「はい。子供たち、ずっとカノンさんを待っていたんですよ。皆、またカノンさんと歌を歌いたいと言って」
嬉しいのに、嬉し過ぎて言葉が出なかった。
もう一度ライゼちゃんの向こうに集まる村人たちを見ると、それに気付いた子どもたちがまたこちらに向けて大きく手を振ってくれた。
「さぁ、一緒に来てください。カノンさん」