My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「本当にご無事で良かったです。私がこんな体でなければ……。本当に役に立たない守り役です、私は……」
「そうそう、ブライトね、何度も村に行こうとするから僕何度も言ったんだよ。行ったら姉ちゃんに確実に嫌われるよって」
「ラ、ラウト様! そのことは……っつぅ」
そして慌てたブライト君はまたも痛みに顔をひきつらせていた。
「ブライト、貴方は今は早く自分の体を治すことを考えなさい。これ以上心配させないでと言ったはずよ」
「は、はい! 申し訳ありません!」
ライゼちゃんから厳しく言われてしまい、今にも泣き出しそうな顔で頭を下げるブライト君。
でも一瞬、彼女がとても優しげな瞳で彼を見つめたのを、私は見逃さなかった。
「もう、話は済んだろう。明るいうちに出発するぞ」
余韻に浸る間も無くそう言いだしたのは勿論ラグだ。先ほどからずっとイライラしているのはわかったが……。
(もう少し別れを惜しんだっていいじゃない……)