My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「いらっしゃい」
カウンターの中にいた老主人が陽気に声を掛けてきた。
ラグはぞんざいにその前の椅子に腰を下ろし、私もおずおずとその隣に座る。
「旅のお方かな? 何にしましょう」
「なんか適当に美味いもん頼む」
「はい」
ラグの不躾な言い方にも嫌な顔一つせず主人は早速何かを作り始めた。
ラグは主人がまず出してくれた水をクイと飲み干す。
私もそのグラスを手に持ちながら店内を見回した。
所々についた蝋燭の灯りがゆらゆらと明暗を作り出していてなんとも趣のある雰囲気だ。
だが何かが足りない。すぐそれに気付く。
(そうか。音楽がないんだ)
これで小さくジャズのような音楽が流れていたら最高なのに。
そう思いながらグラスに口をつけた……途端、
「ブっ!」
私は口に含んだそれを噴出してしまった。
「うわっ! 何やってんだお前」
「だ、だってこれお酒……」
「当たり前だろ。まさかお前その歳で酒が飲めないのか?」
「わ、私の国じゃ二十歳にならないと飲んじゃいけないの!」
思わずムっとして言い返す。
「へぇ、じゃぁどうする。ミルクでも頼むか?」
「……ジュースとか、ありませんか?」
思いっきり馬鹿にされ腹が立った私は主人の方に訊く。
すると主人はクスクス笑いながら「ありますよ」と言ってすぐに違うグラスを出してくれた。
赤い色のそれを飲むと程よい酸味に耳の下辺りがジーンとしびれた。
「美味しい!」
「それは良かった」
私は乾いた喉を潤すように一気にそれを飲み干した。
カウンターの中にいた老主人が陽気に声を掛けてきた。
ラグはぞんざいにその前の椅子に腰を下ろし、私もおずおずとその隣に座る。
「旅のお方かな? 何にしましょう」
「なんか適当に美味いもん頼む」
「はい」
ラグの不躾な言い方にも嫌な顔一つせず主人は早速何かを作り始めた。
ラグは主人がまず出してくれた水をクイと飲み干す。
私もそのグラスを手に持ちながら店内を見回した。
所々についた蝋燭の灯りがゆらゆらと明暗を作り出していてなんとも趣のある雰囲気だ。
だが何かが足りない。すぐそれに気付く。
(そうか。音楽がないんだ)
これで小さくジャズのような音楽が流れていたら最高なのに。
そう思いながらグラスに口をつけた……途端、
「ブっ!」
私は口に含んだそれを噴出してしまった。
「うわっ! 何やってんだお前」
「だ、だってこれお酒……」
「当たり前だろ。まさかお前その歳で酒が飲めないのか?」
「わ、私の国じゃ二十歳にならないと飲んじゃいけないの!」
思わずムっとして言い返す。
「へぇ、じゃぁどうする。ミルクでも頼むか?」
「……ジュースとか、ありませんか?」
思いっきり馬鹿にされ腹が立った私は主人の方に訊く。
すると主人はクスクス笑いながら「ありますよ」と言ってすぐに違うグラスを出してくれた。
赤い色のそれを飲むと程よい酸味に耳の下辺りがジーンとしびれた。
「美味しい!」
「それは良かった」
私は乾いた喉を潤すように一気にそれを飲み干した。