My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
「いたっ」
ベッドに座り髪の毛を結っていると、腕に小さく痛みが走った。
袖を捲って見れば、昨日森の中で出来たものだろう、薄い切り傷を発見してしまった。
「……こんなのすぐに治る治る!」
それにいちいちこんな小さな傷、今は気にしていられない。
しかしそこでふと思いつく。
(そういえば、私にも怪我治せるのかな)
昨夜ラグが治癒くらい出来るようにしておけ、そう言っていたことを思い出したのだ。
――怪我を治す歌。
と言えば、昔よくおばあちゃんが歌ってくれたあの懐かしい“まじない歌”しか思い浮かばなかった。
私は昨夜ラグがしたように傷口を押さえながら小さく息を吸い込む。
「ちちんぷいぷい いたいのいたいのとんでゆけ~」
治らなくとも、痛みだけでも……そう願いつつ短く歌い終え、ドキドキしながら手を離してみる。が。
「……だめかぁ」
傷は先ほど見た時と何も変わらず、触れれば小さく痛みが走った。
そう上手くはいかないようだ。髪の毛も銀には変わっていない。
(それにしても、この歌をこんなに真剣に歌うなんて……)
後から恥ずかしさが込み上げて来て、一人のときで良かったと思わずそんな自分に苦笑してしまう。
「と、早く行かないとまた怒られる!」
急いで身支度を終わらせ部屋を出ようとして、思わぬところでブゥを発見した。
棚に置いてあった観葉植物の葉の裏にぶら下がっておねむ中だったのだ。
つい笑みがこぼれる。
(和み系だよね、ブゥって)
起こしてしまわないよう静かに部屋を出ると、パンの焼ける良い香りがした。
その香りに誘われるように階段を降りていくと丁度女将さんと出くわした。
「おはよう。良く眠れたかい? 奥の部屋に朝食の用意が出来てるからね、食べておくれ」
「はい! いただきます」
にっこり笑って女将さんはカウンター奥へと入っていった。
ベッドに座り髪の毛を結っていると、腕に小さく痛みが走った。
袖を捲って見れば、昨日森の中で出来たものだろう、薄い切り傷を発見してしまった。
「……こんなのすぐに治る治る!」
それにいちいちこんな小さな傷、今は気にしていられない。
しかしそこでふと思いつく。
(そういえば、私にも怪我治せるのかな)
昨夜ラグが治癒くらい出来るようにしておけ、そう言っていたことを思い出したのだ。
――怪我を治す歌。
と言えば、昔よくおばあちゃんが歌ってくれたあの懐かしい“まじない歌”しか思い浮かばなかった。
私は昨夜ラグがしたように傷口を押さえながら小さく息を吸い込む。
「ちちんぷいぷい いたいのいたいのとんでゆけ~」
治らなくとも、痛みだけでも……そう願いつつ短く歌い終え、ドキドキしながら手を離してみる。が。
「……だめかぁ」
傷は先ほど見た時と何も変わらず、触れれば小さく痛みが走った。
そう上手くはいかないようだ。髪の毛も銀には変わっていない。
(それにしても、この歌をこんなに真剣に歌うなんて……)
後から恥ずかしさが込み上げて来て、一人のときで良かったと思わずそんな自分に苦笑してしまう。
「と、早く行かないとまた怒られる!」
急いで身支度を終わらせ部屋を出ようとして、思わぬところでブゥを発見した。
棚に置いてあった観葉植物の葉の裏にぶら下がっておねむ中だったのだ。
つい笑みがこぼれる。
(和み系だよね、ブゥって)
起こしてしまわないよう静かに部屋を出ると、パンの焼ける良い香りがした。
その香りに誘われるように階段を降りていくと丁度女将さんと出くわした。
「おはよう。良く眠れたかい? 奥の部屋に朝食の用意が出来てるからね、食べておくれ」
「はい! いただきます」
にっこり笑って女将さんはカウンター奥へと入っていった。