My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
どうだ! と言わんばかりに胸と声を張り上げる男。
途端それまでつまらなそうにしていたラグが視線を上げた。
セリーンの表情もより真剣なものへと変わり、背中の長剣がすらりと引き抜かれる。
それを見た男の取巻きたちが各々の武器を構えた。
(この国って術士は珍しいんじゃなかったの!?)
一気に張り詰めた雰囲気のせいか、それともこれが殺気というものなのか、身体に震えが走る。
「なんだ!? それでもやろうってのか、馬鹿な奴らめ!」
男はバっと両手を空に掲げた。
即座にセリーンが動くが取り巻き達がその前に立ちはだかり剣同士がぶつかる甲高い音が響いた。
その間に男が空に向かって叫ぶ。
「俺様に力を貸しやがれ! ……風を此処に!!」
衝撃に備え体を硬くし目を瞑る。
――だが、5秒が過ぎ、10秒が過ぎても何も起こらない。
(…………?)
恐る恐る目を開けると、皆の目がラグの顔に集中していた。
セリーンも剣を構えたまま眉を顰めラグを見つめている。
一体彼に何が起こったのかと私はその顔を覗いてみた。
すると、彼の頬に紙で切ったような一筋の赤い傷が出来ていた。
(あれ? なんか、もっとすごいのかと思った……)
どうも拍子抜けしたような気分でいると、男は得意げに馬鹿笑いを始めた。
「はーっははは! どうだ俺様の力、驚いたか!?」
周りの男達もそれに習うように一斉に笑い出す。
「これでわかっただろう! さぁ! 金目のもんを置いてさっさと――」
と、男の言葉を遮るように大きな舌打ちが聞こえた。
傷の出来た頬を拭いながらラグがゆっくりと口を開く。
「この程度で……ストレッタの名を口にするんじゃねー!!」
途端それまでつまらなそうにしていたラグが視線を上げた。
セリーンの表情もより真剣なものへと変わり、背中の長剣がすらりと引き抜かれる。
それを見た男の取巻きたちが各々の武器を構えた。
(この国って術士は珍しいんじゃなかったの!?)
一気に張り詰めた雰囲気のせいか、それともこれが殺気というものなのか、身体に震えが走る。
「なんだ!? それでもやろうってのか、馬鹿な奴らめ!」
男はバっと両手を空に掲げた。
即座にセリーンが動くが取り巻き達がその前に立ちはだかり剣同士がぶつかる甲高い音が響いた。
その間に男が空に向かって叫ぶ。
「俺様に力を貸しやがれ! ……風を此処に!!」
衝撃に備え体を硬くし目を瞑る。
――だが、5秒が過ぎ、10秒が過ぎても何も起こらない。
(…………?)
恐る恐る目を開けると、皆の目がラグの顔に集中していた。
セリーンも剣を構えたまま眉を顰めラグを見つめている。
一体彼に何が起こったのかと私はその顔を覗いてみた。
すると、彼の頬に紙で切ったような一筋の赤い傷が出来ていた。
(あれ? なんか、もっとすごいのかと思った……)
どうも拍子抜けしたような気分でいると、男は得意げに馬鹿笑いを始めた。
「はーっははは! どうだ俺様の力、驚いたか!?」
周りの男達もそれに習うように一斉に笑い出す。
「これでわかっただろう! さぁ! 金目のもんを置いてさっさと――」
と、男の言葉を遮るように大きな舌打ちが聞こえた。
傷の出来た頬を拭いながらラグがゆっくりと口を開く。
「この程度で……ストレッタの名を口にするんじゃねー!!」