My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
その怒声に男達は明らかに怯んだ素振りを見せた。
「セリーン、怪我したくなかったら後ろに回れ」
早口でラグは言う。セリーンは怪訝な顔のまま言われたとおり私の傍らに下がった。
「な、なんだテメェ! もっと痛い目に合いてぇのか!?」
男が赤い顔でまたしても両手を振り上げる。同時にラグも右手を上げた。
「もう一度俺様に力を貸しやがれ!」
「すまない、少し力を貸してくれ……」
『風を此処に!!』
二人の声が見事にハモる。
瞬間、ゴォっという風音が聞こえたかと思うと目の前から忽然と男達の姿が消え失せた。
驚いて辺りを見回すと、草原のはるか彼方に点々と人間のようなものが飛んでいるのが見えた……ような気がした。
どうやら、ラグの起こした風によって男達は揃って吹き飛ばされたらしい。
そして私とセリーンの前にぽつりと残ったのは、一人の少年だった。
「傭兵を雇えた場合、オレが術士だってことは秘密にしろよ」
そう自分で言っていたラグ。
それなのにセリーンの前で術を使ってしまった上、少年の姿に変わるところまで見られてしまった。
よほどあの賊の魔導術士に腹が立ったのだろうけれど……。
やはり気まずいのかラグはこちらを振り向こうとしない。
何も言わないセリーンの方を見ると、予想通り彼女は呆けたように小さくなった彼の背中を見つめていた。
「あ、あの……セリーン? あのね、ラグはね」
「カノン!」
制止され私は口を噤む。
「オレが説明するから……」
溜息ひとつして、ラグがゆっくりとこちらを振り返る。
自分の失態への羞恥のためか、その頬は少し赤い。
「セリーン、怪我したくなかったら後ろに回れ」
早口でラグは言う。セリーンは怪訝な顔のまま言われたとおり私の傍らに下がった。
「な、なんだテメェ! もっと痛い目に合いてぇのか!?」
男が赤い顔でまたしても両手を振り上げる。同時にラグも右手を上げた。
「もう一度俺様に力を貸しやがれ!」
「すまない、少し力を貸してくれ……」
『風を此処に!!』
二人の声が見事にハモる。
瞬間、ゴォっという風音が聞こえたかと思うと目の前から忽然と男達の姿が消え失せた。
驚いて辺りを見回すと、草原のはるか彼方に点々と人間のようなものが飛んでいるのが見えた……ような気がした。
どうやら、ラグの起こした風によって男達は揃って吹き飛ばされたらしい。
そして私とセリーンの前にぽつりと残ったのは、一人の少年だった。
「傭兵を雇えた場合、オレが術士だってことは秘密にしろよ」
そう自分で言っていたラグ。
それなのにセリーンの前で術を使ってしまった上、少年の姿に変わるところまで見られてしまった。
よほどあの賊の魔導術士に腹が立ったのだろうけれど……。
やはり気まずいのかラグはこちらを振り向こうとしない。
何も言わないセリーンの方を見ると、予想通り彼女は呆けたように小さくなった彼の背中を見つめていた。
「あ、あの……セリーン? あのね、ラグはね」
「カノン!」
制止され私は口を噤む。
「オレが説明するから……」
溜息ひとつして、ラグがゆっくりとこちらを振り返る。
自分の失態への羞恥のためか、その頬は少し赤い。