My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
8.旅の仲間
「呪い? ……あの可愛い姿がか?」
「はい。そうみたいです」
私が小声で頷くとセリーンは信じられないといった顔で前方を歩く少年を見つめた。
ちなみに今ラグとセリーンとの距離は優に10メートルはある。
そこから少しでも距離が縮まるとラグから「寄るな変態!」と怒声が飛んでくるのだった。
それでもセリーンは隙を見ては何度も近寄ろうと試みている。
その度警戒心丸出しで怒鳴るラグを眺めながら、私はただただ苦笑するしかなかった。
夕方近くなっても相変わらず喉かな風景の中で、私は彼女にぴったりと横につかれ先ほどから質問攻めにあっていた。
「あの子はいつまで見られるのだ?」
「えっと、多分、もうすぐ戻っちゃうと思います」
「何! そんなに短いのか!? やはりもう一度……」
「だから近寄るなって言ってんだろ変態!!」
「くそっ……! だが、ああして怒った顔もなんて可愛いんだ! ……あの無愛想な男と同一人物とはどうしても思えんな」
「あははは」
私が乾いた笑いを返していると、セリーンがふと思い出したようにこちらを見た。
「そういえば、お前達はどういう関係なんだ? 恋人ではないと言っていたが」
「え? あ~……」