My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 1
幽霊とか、お化けとか、そういう類のものがすごく苦手な私がそれでも恐怖に感じなかったのは、この人の柔和な雰囲気のせいだろう。
彼がクスリと笑って口を開いた。
「幽霊とは少し違うな。でも……少し正解」
声も素敵だった。“セクシーボイス”という言い方がしっくりくるかもしれない。
「僕の本体は別の場所にいるんだ。今は心だけ飛ばして君と喋っている」
言っていることの不自然さそっちのけで、私はその声と笑顔にまたしても見とれてしまっていた。
と、彼の額に刺青のような紋様があることに気付く。飾りかと思ったが彼の白い肌に直接描かれているようだ。
(って、見とれてる場合じゃないってば!)
ハタと気付き私は慌てて訊く。
「あの、さっき歌っても無駄だって……」
「うん。無駄だよ。この世界に来るときに使った曲を歌おうとしたんだろう?」
「この世界って、じゃあ貴方は知っているんですか!? 私が別の世界から来たってこと!」
私は思わず歓声を上げていた。
この人は私を助けてくれるかもしれない!
この知らない世界で、初めて光を見た気がした。……でも、
「全てを知っているわけじゃない」
彼が微笑を浮かべながら続ける。
「今君が歌おうとした曲は、こちら側に来るためのもの。帰ることは出来ないよ」
「なら、どうすれば帰れるんですか!?」
「簡単だよ。帰るための曲を歌えばいい」
「帰るための、曲……?」
私が呆けたように繰り返すとその人は満足げに頷いた。
彼がクスリと笑って口を開いた。
「幽霊とは少し違うな。でも……少し正解」
声も素敵だった。“セクシーボイス”という言い方がしっくりくるかもしれない。
「僕の本体は別の場所にいるんだ。今は心だけ飛ばして君と喋っている」
言っていることの不自然さそっちのけで、私はその声と笑顔にまたしても見とれてしまっていた。
と、彼の額に刺青のような紋様があることに気付く。飾りかと思ったが彼の白い肌に直接描かれているようだ。
(って、見とれてる場合じゃないってば!)
ハタと気付き私は慌てて訊く。
「あの、さっき歌っても無駄だって……」
「うん。無駄だよ。この世界に来るときに使った曲を歌おうとしたんだろう?」
「この世界って、じゃあ貴方は知っているんですか!? 私が別の世界から来たってこと!」
私は思わず歓声を上げていた。
この人は私を助けてくれるかもしれない!
この知らない世界で、初めて光を見た気がした。……でも、
「全てを知っているわけじゃない」
彼が微笑を浮かべながら続ける。
「今君が歌おうとした曲は、こちら側に来るためのもの。帰ることは出来ないよ」
「なら、どうすれば帰れるんですか!?」
「簡単だよ。帰るための曲を歌えばいい」
「帰るための、曲……?」
私が呆けたように繰り返すとその人は満足げに頷いた。