ヤマタノオロチ
前 四節


「7年か・・・。」


 オロチは、酒を飲みながら、そんな言葉を口にする。


「俺は、まだ行くと決めたわけでは!」


 勝手に別れを告げようとするオロチに、スサノオは慌てて声を上げる。


 ・・・が・・・。


「村に行ったときに聞いたんだ・・・。那須の国が戦の準備を始めているらしい。」


「は?」


 オロチの言葉に、一瞬、変な声がスサノオから漏れる。


「狙いは、須賀の国らしい・・・あいつら、今、須賀に王がいないことを感づいたらしい。」


「・・・・・・・。」


 スサノオは言葉を失った。


 那須の国?


 出雲にすら劣るただの小国だろう?


 そんな相手、王が不在でも、須賀の軍備なら・・・。


「さらにな・・・出雲も那須の軍備に手を貸していると・・・。」


「!」


 言葉を失った。


 出雲が?


 須賀と双璧・・・いや、それ以上の力を持つとも言われている、あの大国出雲が、那須に協力?


 馬鹿な!?


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