ヤマタノオロチ
「それだけ、須賀の王が亡くなったというのは、でかいというコトだろう?」
オロチは、それだけ口にすると、酒瓶をスサノオに向け・・・。
「行けよ・・・スサノオウ。お前が行かなければ、須賀に暮らす、数万の民はどうする?」
まっすぐのオロチの目線。
ずっと、この目線に頼ってきた。
両親に先立たれ、姉に捨てられ、行くあてのなくなった自分を救ってくれた、大きな大きな目線。
コイツに、釣りを教わった。
この方に、剣を教わった。
あなた様に・・・生きる道を教わった・・・・・・。
「オロチ・・・。」
それは、母の名であり、父の名であり・・・そして・・・師の名・・・。
そいつが、『行け』と言う。
だから、断ることは出来ない。
自分は道を決めるときが来た。
スサノオは、オロチが差し出した、酒瓶を受け取り、杯に移すことなく、一気に飲み干すと、床に手をつけ、深々と頭を下げた。