ヤマタノオロチ
前 五節

 ~7年前~


 オロチ暮らしていた村は全滅した。


 はやり病によってだ。


 オロチが平気だったのは、運がよかっただけに過ぎない。


 抗体が出来てしまったのだ。


 事実医学上、どのような病原菌にも1%の確立で抗体が出来ると実証されている。


 ・・・が、それはあくまで現代医学の見解であり、当時の日本の人々がそれを知るはずもない。


 ・・・・・・呪われし子。


 オロチが周りの村の住民からつけられたあだ名は、受けて当然ともいえる汚名だった。


 否定はできないし、できるはずもなかった。


 だからオロチは、村から離れ、村の中で暮らすことを決めた。


 俺がいたら呪われる。


 俺がいたせいで、村人全員が死んだ。


 俺は・・・この林の中で、静かに一人で暮らし、静かに黄泉に旅立つことにしよう・・・。


 そう、決めていたはずだった。


「うわぁ~~ん!うわっぁああん!」


 ところが、神はそんな彼にとんでもないモノを送りつけてきた。
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