ヤマタノオロチ

「・・・どうした?」


 ・・・・それは・・・大きく泣き叫ぶ子供・・・。


 なんで、こんな林の中でこんな子供が・・・?


「うわぁ~ん!うわぁああん!」


「・・・・まいったな。これでは、何も分からない・・・おい、坊主。親はどこだ?」


 とりあえず、こんな林の中に子供一人で来るとは思えない。


 ・・・まぁ、自分もわずか13歳なので、子供といえば子供だが、それでも元服していておかしくない年齢だから、この際黙ってよう。


「親は・・・いない・・・。」


 ・・・?


「いない?」


「死んだ・・・姉さまは、俺が殺したと言って・・・こんな場所に捨てられてて・・・。」


 ・・・・・・・捨て子かよ・・・。


 オロチは大きくため息をついた。


 捨て子は当時、決して珍しくない。


 親が死んで姉に捨てられたというコトは、産後の肥立ちが悪く、そのまま亡くなったのだろう。


 若き姉にとって、一人で生き抜くにも大変な時代。


 弟は、重荷にしかなるまい。


 むしろ、よくこの歳まで育てたというものだ。


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