ヤマタノオロチ
「くそぉ~。普通、剣を交えながらしゃがむかよ?・・・そんなに反射神経いいやつなんて、この世にいないって・・・。」
尻餅をついたのか、お尻をさすりながら、スサノオがぼやく。
あのな・・・。
「事実、ここにいるだろう?ホラ、お前が教えて欲しいって言ったんだろう?もう一戦!」
楽しい日々だった。
呪われた子として、忌み嫌われ、父や母どころか、友人や村人の仲間たちすべてを殺してしまった自分には申し分ないほどに充実した日々だった。
「なぁ、オロチ・・・なんで、それだけ剣術があるのに、お前は兵にならないんだ?国がほっとかないだろう?」
スサノオは子供とは思えないほどに教養に満ちていた。
文字が読み書きできたのには、驚いたほどだ。
俺だって、文字なんて分からないのに・・・。
しかし、今考えれば当たり前なのだ。
王家の息子となれば、当然、英才教育を受けていたのだろう。
だから、俺はスサノオに文字を教わった。
もちろん、使うことはないだろうが・・・。