ヤマタノオロチ


「・・・って、また鮎かよ・・・。」


 スサノオは、自分が釣った魚を見て、思わずため息をついた。


「大量じゃないか?今宵は鮎祭りだな・・・。」


 オロチはそれを見て、愉快そうに笑顔を向ける。


「勘弁してくれ・・・俺は昨日も一昨日も鮎だぞ・・・いいな・・・オロチは、なんだ?その魚は?」


 スサノオは、オロチのかごの中に見たこともない魚を見つけて、声を上げる。


 ちなみに、スサノオのかごの中にいる魚は見事に鮎ばかり。


 それ以外の魚は一切入ってない。


「あぁ・・・鮭だよ。この時期に捕まえるのは、難しいのだがな・・・。まぁ、コレも実力と言うやつだ。」


 言うと、オロチは自慢げな声を上げた。


「おぉ~!鮭かよ!この時期に鮭とはお前凄すぎだろ?俺にも一匹分けろ!」


 言っては見るが・・・。


「嫌だよ・・・悔しかったら、自分で釣れ。」


 案の定一蹴された。


「くわっ!・・・いっそのこと、魚はあきらめて、山に行って猪でも捕まえてくるかな・・・。」


 オロチは釣り人。


 ゆえに彼らの食事は魚が中心になるのは仕方ないが、それでも、時には肉が食いたくなるのは、人の性。


「おぉ、行って来い。一人で捕まえられるのならな。」


 ・・・コイツ・・・。


「嫌だよ。山には鬼が出るのだろう?」


 悔しいから、そんな言い訳をしてみる。


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