ヤマタノオロチ


「この味は銀か?」


 オロチは、川の水を救い、一口飲むと、そう判断した。


 性格には水銀と呼ばれるものなのだが、当時の人間にしてみれば、銀も水銀も代わりはない。


 川がやせてきた原因。


 川がやせるというのは、魚の数が減ったり、小ぶりになったことをさす。


 釣り人であるオロチが、この異変に気がつかないわけがないのだ。


 そういえば、那須の国は川の上流に当たったな。


 あそこで銀の採掘が行われていたのだっけ?今でもやってるのか、どうか分からないが、銀を流し込んだら、下流にある須賀の国に影響があるのは、誰だって分かるだろう。


「まったく・・・他国を攻めるのも良いが・・・自国の環境整備を行わずしてどうするのだ?」


 言うと、須賀は荷物をまとめる。


 たぶん、あいつは気がついていないだろう。


 だったら、教えたほうが良い。


 銀を含んだ魚は有毒だ。


 大量に口に含んだら、それを食す民たちの命が危ない。


「さて・・・久々に、わが子に会いに行くとするか・・・。」


 言うとオロチは荷物をまとめる。


 瞬間。

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