ヤマタノオロチ
「妖術使いめ!ここにて止まれ!」
王宮の前、オロチは門番に槍先を向けられながらも、一切動揺しなかった。
自分が刺される理由が見つからなかったからだ。
「いや・・・だから、俺はスサノオに会いに来ただけだって・・・王に『オロチが来た』と伝えてくれ、それで通じるはずだから・・・。」
必死に弁明してみるが・・・。
「そのような戯言、聞き入れるほど、我々も愚かではないわ!王の命を狙う、妖術使い、ここで成敗してくれる!」
言うと、門番は槍を一閃。
「うわっと!」
だが、間一髪で避けるオロチ。
いや、本当は十分に避けられたのだが、一応、それらしいフリをしてみただけだ。
スサノオ・・・この門番弱すぎだぞ・・・大丈夫か?こんなことで・・・?
「おのれ~!」
しかし、それに対して怒り心頭の門番。
あぁ、こりゃダメだな。
「分かった、分かった。今日は帰るよ・・・スサノオに伝えておいてくれ、『川に銀が流れている、このままでは、国の民の命が危ない』って・・・いいか、必ずだぞ。それと、できれば『釣りはしているか?川がやせたこと・・・お前が気がつかないはずないよな?』・・・とできれば、伝えてくれ。」
それだけ、言い残すと、オロチは後ずさりするようにその場から去っていった。