ヤマタノオロチ
「言ったはずだ!俺はこの目で見たものしか信じない!ヤマタノオロチが妖術を使わない限り、俺はコイツが妖術使いだとは信じない!」
スサノオウはさらに大声を上げる。
国中に響くように・・・。
国中に知らしめるように・・・。
コイツが、妖術使いのわけがないだろう!
この方が、妖術を使うはずがないだろう!
父を、母を、師を汚すな!須賀の国よ!!
「立派になったな・・・。」
それは、オロチの小さな言葉。
だが・・・スサノオウには確実に聞こえた、言葉。
・・・あなたのおかげです。
そんな言葉が返せたら、どれほどよかったことか・・・。
だが、そんな言葉を返すことできることなく、オロチは静かに国を立ち去っていった。
スサノオウは、その夜・・・誰に見せるでもなく、かつて自分が暮らしていた、家の方角に向かい、深々と頭を下げた・・・。