ヤマタノオロチ
「まぁ、気が向いたらな・・・しかし、鬼か・・・それまた愉快な噂が立っているものだ。」
愉快・・・なんだ。
「なんだ?怖くないのか?オロチは?」
だって、鬼だぞ鬼。
熊よりも巨大で、虎よりも獰猛なんだぞ。
とても、人間に勝てる相手じゃないぞ。
「そんなもの、本当にいると思うのか?」
・・・は?
「そりゃ・・・いるだろう?だって、村人全員が、いるって・・・。」
みんな『いる』って言ってんだから、当然それはいるものだと・・・。
「俺は信じないね・・・そんな生き物がいるなんて。」
しかし、オロチはそんなスサノオの言葉を一蹴する。
「なんでだよ?だって、村人全員が・・・。」
言っているというのに・・・。
「村人全員が『いる』と言ったところで、俺はそんなもの見たことも、そんな存在の気配すら感じたことはない。俺は自分の見たもの以外は信じないんだよ。・・・それとも、スサノオは鬼を見たことあるのか?」
・・・うっ・・・それを言われると・・・。
「そりゃ・・・あ、でも見たものはみんな食われたのだろう?」
反論してみるが・・・。
「だったら、尚のこと信じられないだろう?鬼を見たものはみんな死ぬ・・・だったら、その鬼はどこから現れたんだよ?」
・・・ぐっ・・・。