ヤマタノオロチ


 その言葉は、どこか遠く。


 どこか、現実ではなく・・・。


「お前が、そんなコトするはずがないだろう!」


 スサノオは声を張り上げる。


「しないから、なんだ?少なくとも、国の連中は俺の仕業だと思っている・・・だったら、お前が俺の首を持って帰らず、誰が納得する?」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 そんな理屈で・・・。


 その程度の理屈で、誰がお前を切れる?


 たかが・・・一国の王でしかない俺に、どうしてお前のような偉大な男を切ることが出来る?


 8歳のときにオロチに出会った。


 あの頃の背中は大きかった。


 頼りがいがあり、大きく頼もしかった。


 アレから、何年のときが流れたのだろうか・・・。


 今では、俺の方がでかい・・・。


 あれほど、大きかった背中が、今では俺が見下ろしているほどになっている。


 だが・・・。


 わが師のいかに大きなことか・・・・・。


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