ヤマタノオロチ


『あ~イワナが食いたい、イワナが・・・』


 オロチは、スサノオに一本の剣を投げつける。


『だったら、自分で釣れ。』


 それは・・・ずっと、稽古で使っていた、自分の刀。


『ずるいぞ、オロチばっかり!』


「たかが、一匹の大蛇を討つのに、そのような豪華な剣を使っては、もったいなかろう・・・なまくらの刀だがな・・・手入れはしてあるから、安心しろ。」


『スサノオ・・・お前は、釣りと言うものを分かってない。』


 スサノオは頭を下げる。


 あの時と同じように。


 涙を流しながら・・・どうすることも出来ない自分の不甲斐なさを悔やみながら・・・。






『釣りはな・・・エサをたらして、ただ待っているだけじゃダメなんだよ。』





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